日本のサッカーと日本の文化

  欧州サッカー最大の宿敵、イングランドとドイツは歴代の名勝負を繰り広げてきたが、重要な局面で勝利するのはほとんどがドイツだった。これについて、 1990年代にイングランドの看板FWだったゲーリー・リネカーは「サッカーは22人が闘い、結局ドイツが勝つゲーム」と嘆いた。

 同じような状況が、アジアのライバル、韓日戦でも起きていた。 ライバルとはいえ、通算戦績は40勝12敗22分けと韓国が圧倒的に優勢だった。洪明甫(ホン・ミョンボ)五輪代表チーム監督は韓日戦について「試合内容 はいつも日本が勝っているが、ゴールは結局、韓国が入れるゲーム」と評している。

 韓日戦の様相は両国文化とも似ている。日本のサッカーは中盤から精巧なパスでゴールチャンスをつくるのが特徴だ。プロセスを重視する日本の文化そ のままだ。韓国はプロセスがどうであれ、とにかくゴールを入れて勝利してきた。結果を重視する韓国の姿そのものに見える。日本では中田英寿らMFたちが、 韓国では車範根(チャ・ボムグン)、崔淳鎬(チェ・スンホ)といったストライカーたちが代々トップスターになってきたのも、偶然ではないだろう。専門家か らは「相手に気配りするという文化的な特徴があるから、日本のサッカーは限界にぶつかっているようだ」という解釈も飛び出した。「最高のチャンスでなけれ ば、より良い位置にいる選手にパスする」という心理が、結局はゴールを決められないイライラするサッカーをつくったという見方だ。

 ほんの7カ月前までは、こうした見方もすべて事実だった。ところが、日本はワールドカップ(W杯)南アフリカ大会から完全に別のチームになった。 W杯で北欧の強豪デンマークを3-1で破り、準優勝チーム・オランダと互角の試合(0-1で敗戦)を繰り広げベスト16に入った日本は、今回カタールで行 われたアジア・カップで韓国とオーストラリアに勝ち優勝した。

 短期間に天と地ほど違う変貌を遂げた日本を見ると「沸点」という言葉が思い浮かぶ。長い間、正確で速いパス、パワフルな中盤でのプレー、イライラ するほどプロセスを重視するサッカーをしてきた日本代表チームだが、W杯という沸点を経て化学変化を起こしたのではないか、ということだ。

 今の日本のサッカーは、趙広来(チョ・グァンレ)韓国代表監督が追い求めるスペイン式サッカーの、ほぼ完璧な東洋型モデルといえる。W杯南アフリ カ大会で、スペインは非常に速く正確なパスで相手を無力にし、優勝した。今回、日本は2508本のパスを繰り出し、オーストラリア(1889本)、韓国 (1876本)などをしのいだ。質的な変化を経てゴールも増えた。アジア・カップで日本は14ゴールを決め、最多得点国になった。特別なストライカーはい ないが、MFの誰もがゴールを決められるという点もスペインに似ている。外信各社が「日本こそアジアのスペイン」と評価するのは、両国サッカーがそれだけ よく似ているからだ。

 韓国はW杯が終わった後からスペインに学び始めたが、日本は既に10年前からスペイン式のサッカーをしていた。日本サッカーの復活は、かなり以前 から予告されていたのかもしれない。ひょっとしたら、韓国はスペインに学ぶ前に、基本とプロセスを重視する日本の成功例をまず研究すべきなのかもしれな い。

キム・ドンソク・スポーツ部サッカーチーム長

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版